相続の登記等で不動産の名義を変更する場合、登録免許税という税金を納めるのですが、その税額は不動産の固定資産税の評価額を基準にして計算いたします。固定資産税の評価額がいくらなのかは、毎年4月から6月にかけて送られてくる固定資産税の納付書に同封された課税明細書に記載されているので容易に知ることが出来ます。もっとも固定資産税が非課税となる公衆用道路については注意が必要です。課税明細書では評価額0円となっているのに、登録免許税の計算上は0円ではなく、原則、近接する不動産の価格の30%を評価額とするためです。ですから評価額が0円だから登録免許税もかからないと思ったら不正解です。
さらに分かり難いパターンがあります。ご自分で相続登記を申請されたH様ですが、名義変更をする土地は登記簿上一つの「宅地」なので、課税明細書に記載されている(もちろん記載されている土地は一つです)評価額を基準に登録免許税を計算すれば足りるものとお考えになり、実際その額を納付なさいました。ところがしばらくすると法務局から電話があり、登録免許税が不足しているので追加納付が必要だと言ってきたのです。H様としては区役所が発行した課税明細書で把握した正確な評価額を基準に計算したわけですから納得できません。
これはH様が相続された不動産が登記簿上一つの「宅地」でありながら、課税上は公衆用道路として評価されている部分が混ざっているためにおこった現象です。課税明細書をよく見ると、登記簿に記載されている地籍より課税明細書に記載されている地籍が小さくなっております。この小さくなった部分が公衆用道路なのです。公衆用道路の評価額は宅地部分の30%ですから、は税明細書の評価額に公衆用道路の評価額をご自分で計算して加算しなければならなかったのです。
「宅地」と「公衆用道路」が二つの土地であれば、公衆用道路部分の評価が0円と出ているので分かりやすいのですが、一つの土地の一部だけが道路だと地積から判断しなければならないので、なれないと非常に分かりにくいです。