遺産分割協議は相続人の全員でしなければなりません。S様は長男とマンションを共有しておりますが、その長男が亡くなってしましました。長男は独身でお子様がいないので、相続人はご両親となるパターンです。ところが、S様は亡き長男の母親に当たる方とずっと昔に協議離婚しており、今ではどこにいるのかもわかりません、あらゆる手段を用いて行方を調べましたが駄目でした。このような場合遺産分割協議を成立させる術はないかというと、「不在者財産管理人の選任」を家庭裁判所に申し立て、さらにその管理人に遺産分割協議をする特別の権限を認めてもらう「不在者財産管理人の権限外行為の許可」を申立てることによって、有効な遺産分割を成立させるという方法があります。もっとも、自分の推定相続人中、行方不明者の存在が想定される場合、遺言書を作成するなどで相続人の負担を軽減する策をお考えになるのが一番なのですが、なかなかそこまで思いが及ばないのが普通でしょうか。