今度の入院が最後の入院となり、もう家へ帰ることはできないと自覚されたF様、遺言書を作成しておけばよかったと後悔されていらっしゃるとのことでした。ご自分ではもう字が書けないので、公証人に病院まで来てもらい公正証書遺言を作成する事にいたしましたが、公証人が来る予定の日を待たず様態が悪化してしまいました。やむを得ず死亡危急時の遺言という特別方式の遺言作成を試みることにしました。この方式は、3人の証人が立ち会って、本人の口述を証人の一人が書きとめ、その内容が正確かどうかを確認したうえで証人が署名押印して作成します。その時病院にいた身内の方は、推定相続人でもあったので証人にはなれません。そこで私と二人の医師が証人となり何とか形にした事例です。