F様のお兄様は晩年パソコンに精通され、金融機関とのやり取りは全てインターネット上で済まされていたようで、相続すべき預貯金や有価証券があることは間違いないのですが、通帳や有価証券の計算書類等、相続手続きの手掛かりとなるものが何も遺されておりませんでした。それでも、銀行等は定期的に各種案内通知が送られてくるので、なんとか相続手続きをすべき先を絞り込むことはできたのですが、保有する株式の相続手続きについてはお手上げだった様です。名義書換代理人は容易に調べることが出来たそうなのですが、お兄様がどこの証券会社に株式を預けているのか皆目見当がつかなかたためです。
実はこのような場合に株式保管先を調べることは意外と簡単です。平成13年から実施された株券電子化に伴い、「証券保管振替機構」により株主の一元的な電子管理がされているためです。この機構に被相続人の口座開設先の情報を開示請求することによって、少なくともどこの証券会社に株式を預けているのかだけは知ることが出来ます。数千円の費用と10日前後の時間はかかりましたが、F様のお兄様がインターネット専門の証券会社に株式を預けていることが分かり、無事相続手続きを済ますことが出来ました。