H様のご両親がお住まいであった実家は、ご両親ともお亡くなりになっていることから空き家となっております。誰も住んでいないこともあり、相続登記をしないまま現在に至ってしまいました。しかしながら今後この実家をどうするにしても、相続登記を済まさなければ何もできません。そこでようやくH様が相続登記に着手されました。
登記簿を拝見すると、土地建物とも、先に亡くなったお父様の持分が3分の2、後に亡くなったお母様の持分が3分の1となっております。相続人は長男であるH様だけです。相続人がお一人であることから、最終的にH様が所有権を全部取得する登記となることは明らかなのですが、すでに亡くなっているお母様と遺産分割協議をする余地は無いので、法定相続による登記とせざるを得ず、お亡くなりになっているお母様にもお父様の3分の2の持分の半分を取得してもらわなければなりません。その後お母様が亡くなられた日を登記原因として、お母様が当初から有していた3分の1と、お父様から相続した3分の1をH様に移転して、やっとH様単有の名義となることになります。
少々面倒な手続きの様に見えますが、実際はお父様とお母様の相続登記はいっぺんに申請しますので(連件申請)、さほど負担感はありません。
ところで、平成30年4月1日より令和3年3月31日までの期間限定ですが、亡くなった方を名義人とする土地の相続登記の場合、その方が取得する部分について登録免許税がかからないことになっております。H様のケースでもお父様からお母様に移転した3分の1は非課税です。建物は課税されますが、課税価格のほとんどが土地の価格なので大変な節税効果です。類似事例がありましたら、今のうちに相続登記をお済ましになることをお勧めいたします。