高齢のお父様名義の自宅の名義を、今のうちに相続人の名義にしておきたいとのご希望でしたが、「相続」を登記原因としてはできません。将来起こることになっている名義の変更を保全するために、仮登記という制度はありますが、相続は法律行為ではなく「事件」つまり出来事ですから、事が起こるまで保全すべき請求権もなにも存在しません。どうしても今のうちに名義変更したいのであれば「贈与」を原因としてすることはできますが、相続税よりずっと高額な贈与税(本事例では40%でした。)がかかります。お父様のご存命中の遺産相続はあり得ませんので、少しでも健康で長生きなされるようご配慮いただくのが一番です。