出生や死亡、結婚による入籍などにより、戸籍の記載事項はだんだん増えてゆくものなのですが、転籍により除籍になった戸籍や改製により作り直された戸籍は、その後書き加えられることはありません。相続手続きに必要とされる戸籍謄本などが記載事項に変更が無い限り有効期限が無いのはそのためです。
N様のお母様が亡くなられ、相続人であるN様他3人の子供たちが遺産分割協議を行い、お母様名義の自宅の土地建物はN様が単独で相続することに話がまとまりました。実は約20年前、N様のお父様が亡くなられたとき、お母様を含む相続人全員で遺産分割協議を行い、この自宅の土地建物をお母様の単独名義にしたのだそうです。
このお母様への名義変更の時にはお父様の出生に遡る戸籍をすべて集めたのですが、お父様とお母様のご結婚後の転籍回数がかなり多く、すべての戸籍を集めるのにかなりの費用と時間がかかったようで、N様としてはまた同じ手間をかけるのが面倒で、なかなか重い腰が上がらなかったそうです。
幸いN様の元にお父様の相続手続きの時に収集した戸籍が残っておりましたので、この度はその古い戸籍がそのまま使えます。その頃の戸籍謄本はB5判サイズで、現在はA4判サイズですが、そのようなことは何も問題ありません。結局、お父様が亡くなった旨の記載が有る戸籍だけは平成6年の法務省令により改製された旨の記載が有るものを取り直す必要がありましたが、新規にはお母様がお亡くなりになった旨の記載がある戸籍を一枚、お母様が出生されてからお父様の戸籍に入るまでの記載があるお爺様の戸籍を一枚取得するだけで完了いたしました。