F様の旦那様はご結婚に際してF様の両親と養子縁組をいたしました。いわゆる婿養子です。この度その旦那様がお亡くなりになりました。F様と旦那様の間にはお子様がおらず、旦那様のご両親も養親であるF様のご両親もすでに亡くなっているので、相続人は妻であるF様と旦那様のお姉様です。このように第三順位の相続人である兄弟姉妹が相続人となる場合の相続割合は、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1です。
さて、お亡くなりになられたF様の旦那様は、F様のご両親と養子縁組をしていたわけですから、F様は配偶者であると同時に、法定血族として兄弟姉妹の立場も有していることになります。そこで考えられるのは、F様が配偶者の立場で4分の3の相続分があることは争いが無いものの、兄弟姉妹の相続分である4分の1については旦那様のお姉様とF様が等分に、つまり8分の1ずつ相続するのではないかということです。
学説的には意見が分かれるところですが、実務的にはこれは否定されております。もともと配偶者の相続分は優遇されていると考えられているため、それに加えて兄弟姉妹としての相続分まで主張するのは求めすぎということでしょうか。たしかにこれを認めてしまうと、配偶者と兄弟姉妹が相続人となった場合の相続割合を民法で定めた理由が弱くなってしまうような気もいたします。