認知の手続きをしていない婚外子には、父親の相続につき相続権がありません。母親との間には出生という事実が存在するため、当然に法律上の親子関係が成立するのと大きく異なります。M様には認知をしていないお子様がいるのですが、正式な婚姻関係にある妻と子供たちの手前、今日まで認知届を出せなかったそうです。そこで、少しでも父親としての責任を果たすために、その婚外子に財産の一部を遺贈する旨の遺言書を作成したいとのことでご相談にみえました。
そこで認知は遺言によってもすることができること、その結果、M様の死後にはなりますが、婚外子との間に正式な法律上の親子関係を成立させることができることを説明させていたところ、その旨を盛り込んだ遺言書を作成することをご決心なさいました。
ところで、認知は認知届を役所に提出してするのですが、遺言による認知の場合は認知届を遺言執行者に提出してもらうことなります。ですから利害関係のある相続人の中から遺言執行者を定めるのは避けなければなりません。そこで今回は当職がお受けすることとなりました。