相続財産を誰がどれだけ相続するかは法律によって定められているので、本来相続によって争いが生じることは少ないはずです。でも実際は、相続財産を構成する不動産や預貯金、権利義務等を法定相続分通りぴったり分割することは難しいことですし、相続人と被相続人との生前におけるかかわり方その他で、法定相続分通りの分割がかえって不公平となることも考えられます。そのため相続人の全員の合意で遺産分割協議を行う意味が生じ、その結果争いに発展することになってしまうのです。
M様と兄弟たちは、今までは大変中の良い兄弟だったのですが、遺産相続をめぐって思いもよらない険悪な関係になってしまいました。それぞれの言い分にもっともと思わされる所もあり、もはや当事者だけの話し合いで解決することは不可能の様でした。
やむを得ず家庭裁判所の遺産分割調停手続を利用することにいたしました。この手続きは、家事審判官と調停委員で組織される調停委員会が、相続人一人一人から中立公正な立場で言い分を聴き、具体的な解決案を考えてくれる手続きです。一対一の面談で、他の相続人の前では言いにくいことも話せるため、問題の所在がはっきりして、みんなが納得する調停案を期待することが出来ます。遺産分割協議がまとまらないため何年も放っておくよりは、本事例の様に裁判所の調停手続きにゆだね、早期解決を図ることをお勧めします。