実家を相続なさったO様ですが、仕事の関係で故郷を遠く離れて暮らしているため、自宅を相続しても自分で使うことはできません。そこで、このまま空き家のまま放置するのも危険ですので売却することにしました。
そこで、相続による所有権移転登記で自宅の登記名義を自分に書き換えても、すぐに売却して買主に登記名義を換えてしまうので、自分への名義書き替えは省略できないものかとお考えでした。相続による名義書き替えにも登録免許税その他、それなりの費用がかかりますので、そのお考えはごもっともと思いますが、それはできません。
不動産の権利関係を記録する登記簿には、どのように権利が変動していったのか正確に記録される必要があります。O様が相続をする前、被相続人がすでに実家を売却なさっていたのであれば、被相続人から買主に直接名義変更をするほうが正確な権利変動を反映しているといえますが、今回の事例はO様が相続をなさって、所有者となったからこそO様が売主として売却できたわけです。O様の登記名義取得は必須です。
ところで、実家を売却すると言っても、建物は取り壊して、売却するのは土地だけということもあると思います。このような場合は、建物の取り壊しは相続人からでもできるので、あえて相続による建物の名義変更をする必要はありません。