お母様が亡くなられて、T様他2名の3人弟が相続人となりました。お母様の亡くなったことは銀行も把握しているため、既に預金は払い戻せなくなっております。T様としては葬儀費用の支払いのため、一刻も早く預金をおろしたいところです。銀行の担当者は、正式な相続手続きをふまない限り払い戻し請求には応じられないとのことでした。かつては、金銭は細かく分けることが出来る性質があるため、預貯金は相続開始と同時に相続人の相続分に応じた割合で当然に分割されているので、遺産分割協議の対象とならず、相続人の相続分に応じた払い戻し請求には応じるべきとの考えがありました。この考え方は平成29年12月の最高裁の判断で否定されて、預金も遺産分割の対象とはっきりしましたが、以前から多くの銀行は、相続人全員の申し立てがないと払い戻しに応じない取り扱いをしていました。無駄な交渉で時間を費やすより、とりあえず預貯金だけでも遺産分割協議書を作成して手続きしたほうが早いことは間違いありません。