F様のお父様が亡くなりました。相続人はF様を含む4人の子供達です。F様のお父様は自筆証書遺言を遺しており、そこには全財産を包括的に(つまり全部を)F様に相続させるとありました。F様以外の子供たちとお父様の間に何らかの確執があったわけではなく、お父様が生前営んでいた事業を手伝っていたのは長男のF様だけだったことからこの様な遺言書を遺されたのではないかと思われます。その他の兄弟達から不平が出ているわけでは無いのですが、F様としてはこのことが原因となって将来兄弟仲が悪くなる様なことがありはしないかと心配です。
遺言書はお亡くなりになった方の最後の意思ですから当然尊重されなければなりません。しかしながら、相続人全員の合意により遺言内容と異なる遺産分割協議をすることが禁じられているわけではありません。このことは遺言に遺言執行者の定めがあるため、相続人に相続財産に対する管理・処分権限が無くなっていても変わりません。
本事例においてはF様の強い希望により、お父様の遺言に託された思いを可能な限り尊重したうえで、遺産分割協議による手続きを取ることになりました。