W様が前のご主人と離婚をなさったのは一人息子がまだ幼いころだったそうです。W様の戸籍を拝見すると、筆頭者をW様とする戸籍に一人息子を入籍させたことが読み取れます。この度縁があってW様は再婚なさることになりました。これによってW様は新しいご主人の戸籍に入籍することになりましたが、一人息子の戸籍はW様筆頭の戸籍に残ったままとなります。このまま何もしなければW様は新しいご主人の姓となり、一人息子だけ姓が異なることとなります。
もし、一人息子の姓も新しいご主人の姓に変え、親子で姓が異なる様なことを避けるのであれば、二つの方法が考えられます。まずは家庭裁判所で子の姓の変更許可を得た上で、新しいご主人の戸籍に入籍させることです。今一つは、新しいご主人と一人息子が養子縁組をすることです。この両者の決定的違いは相続権の有無に出て来ます。子の姓の変更は、あくまでも氏名を変更するだけであって、新しいご主人と一人息子の間に親子関係は創造されず、お互いに相続権が無いということになります。それと異なり、養子縁組は実の子と全く変わらない親子関係の創造となりますので、お互いに相続権が発生いたします。W様は子供の将来のことを最優先にしたいとの思いで養子縁組を選択なさいました。