T様のお母様が亡くなられ、お母様所有の土地建物の相続登記をお受けいたしました。相続人は子であるT様のみで、他には相続人はおりません。このような場合はお母様の出生に遡る戸籍をすべて取得し、他には相続人がいない事が客観的に証明できれば登記申請ができます。
出生に遡る戸籍とは、もちろん生まれた時まで遡るのが原則ですが、生殖機能が備わっていないであろう10歳未満まで遡れれば十分とも考えられます。この辺は意見の分かれる点といえます。
T様のお母様のご家族は、T様が12歳の時に東京都から転籍してきたことがわかりました。そこで12歳という年齢は微妙ですが、念のため東京の管轄区役所に戸籍の請求をしてみたところ、あいにく該当の戸籍は昭和20年3月の東京大空襲により焼失してしまったとの事でした。実はこのような事例は決して珍しいことではありません。
戸籍が何らかの事由で焼失した場合はその旨の証明書を市区町村で発行してもらい、登記申請の際その証明書を添付すれば特に問題はありません。以前別の事例で、明らかに生殖機能が備わっている年齢で途切れたことがありましたが、その場合も市区町村の証明だけで足り、他に相続人がいない旨の上申書等も必要ありませんでした。