不動産登記の申請に権利書を添付したり登記識別情報を提供することが必要なのは、その登記によって得をする人と損をする人がいる場合です。この損得はあくまでも登記簿上の形式的な判断で、実は大変良い条件で買ってもらえたので、得をしたのは売主の方だとかは関係ありません。登記簿上所有権が無くなる売主が本当にそれでも良いと思っていることを、本来売主本人しかもっていないはずの権利書等を提出提供させてその意思確認をするためです。ですから相続という法律行為でもない「出来事」に意思確認はありえませんし、すでに亡くなっている方の意思確認も意味がありません。当然相続登記は権利書が見つからなくてもすることが出来ます。ところで、お亡くなりになった方の最後の住所が登記簿上の住所と異なり、住所に関する証明書の保存期間が経過して登記簿上の住所から最後の住所までの変遷を証明できないときに、登記手続きがスムーズになるように権利書を添付する様なことはあります。