A様の父親が自筆証書遺言を遺して亡くなりました。相続人はA様を含む5人の子供達です。家庭裁判所の検認手続きを経て開封したところ、財産は全て長男であるA様に相続させる旨の記載が有りました。他の子供たちの遺留分については一切考慮されておりません。父親とA様以外の子供たちの間になにか問題があったわけでは無く、父親の生前、事業を共にしていたのはA様だけであったため、A様にすべてを包括的に任せる気になられた様です。
本来、相続人の全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議をすることは認められていると考えられております。仮に遺言執行者の指定があり、相続人の管理・処分権限が無くなっていたとしても、そのことによって相続人による遺産分割協議が禁じられるわけではありません。
遺言書の内容に不満を示した方がいたわけではありませんが、将来に遺恨が残らないようにと、A様が率先して、父親の遺言内容を可能な限り尊重して、5人の子供達全員が納得できる遺産分割協議を成立させました。