遺産分割協議に基づき土地建物の相続による名義変更をする場合、相続人全員で遺産分割協議書を作成する必要があります。またその協議書の印鑑は実印でなければならず、市区村町発行の印鑑証明書を添付する必要もあります。ずいぶん前にN様のご主人が亡くなりました。相続人の全員である妻のN様と長男および長女で、相続財産はN様が一人で相続することで合意いたしました。ところが、長女が海外に居住しており日本に住民票がないため、印鑑証明書が取得できません。日本へは年に一二度短期間帰って来るだけなので、長年相続手続きが進められなかったとのことでした。このような場合は、居住している国の日本の領事館等で、遺産分割協議書へサインをすること、そしてそのサインはたしかに本人がサインしたと証明してもらうことで実印の押印と印鑑証明書の添付に代えることが出来ます。遺産分割協議書は相続人全員が連署しなければならないものではないので、長女用のサイン証明取得用の協議書を作成すれば、その書類にサイン証明をとってもらうだけで登記申請に必要な書類が揃えられます。