遺言書が無い場合の相続手続には、原則相続人全員の関与が必要となります。そのためには相続人が誰であるのかを確定するために、お亡くなりになられた方の出生に遡る戸籍を取得して確認する必要があります。もっとも、被相続人に生殖機能が備わる前まで遡れば足りるとする考え方もありますが、それが何歳であるのかは意見が分かれるところで、一桁の年齢まで遡ったところで転籍等で途切れてしまったような特別な事情がない限りは、出生に遡るまで追跡するのが無難なようです。
戸籍取得で一番大変なケースは、相続人の順位としては第3順位の兄弟姉妹が相続人となる場合です。M様の旦那様が亡くなられて相続手続きを開始いたしました。M様夫妻に子供は無く、旦那様のご両親も亡くなられているので、相続人はM様と旦那様のご兄弟です。このような場合相続人を確定するには、旦那様の出生に遡る戸籍では足りず、旦那様のご両親の出生に遡る戸籍が必要となります。なぜなら、旦那様のお父様にもお母様にも他には子供(養子も含む)がいないことを証明しないと、旦那様の兄弟全員が関与していることを証明できないからです。
M様の時代は兄弟が多かったので、取得すべき戸籍の量がかなりあり、また古い戸籍は達筆すぎて解読が難しいものもありましたが、全部集まった時には達成感すら感じてしまうものでした。