K様の友人がお亡くなりになり、K様がその友人から預かったという自筆証書遺言をお持ちになりご相談にみえました。内容は財産の全てをK様に遺贈するという内容です。その友人には相続人か全くいなかったため、長年苦楽を共にしたK様に財産を譲ることにしたようです。問題はこの遺言書に遺言執行者についての記載がないため、ここから先どのように手続きしてよいのか分からないとのことでした。
相続人中の特定の人に「相続させる」と遺言した場合、遺言者が亡くなった時に直ちに相続による承継がなされ、遺言執行者の出番はないとされており、相続財産が不動産であれば、相続人が単独で相続登記が申請できることになっております(令和1年7月1日以降に成立した遺言の場合、遺言執行者の関与が必要です。)。ところが今回の様に相続人ではない人へ「遺贈する」とした場合、本来遺言執行者が登記義務者となり、不動産を受ける人が登記権利者となり、共同して所有権移転登記を申請する必要があります。もし遺言執行者の指定が無ければ、遺言者の相続人全員が登記義務者になるところ、友人には相続人がいないわけですからお手上げです。
この様な場合、家庭裁判所に遺言執行者の選任を請求することができます。また、申し立てに際して誰を遺言執行者にしてもらいたいか候補者を指定できますので、当事務所が遺言執行者となり、無事友人の遺言を実現させていただきました。