不動産と預貯金の相続手続きにA様がお見えになられました。被相続人はA様の祖母に当たる方で、生涯独身で子が無く兄弟姉妹が相続人となるパターンです。大変なご長命であったことと、兄弟姉妹が多い時代の方なので、代襲相続や数次相続のため、相続人を特定するために必要な戸籍は50を超えてしまいました。この膨大な戸籍の束をもって相続手続きのため金融機関を回るのは大変ですし、手続きを依頼された金融機関の担当者もさぞかし困る事でしょう。
そこで、遺産分割協議書の署名押印に相続人一同が集まる予定日まで少々日日がありましたので、この後相続登記をすることになっている不動産所在地を管轄する法務局に、法定相続情報一覧図の申し出をすることにいたしました。
法定相続情報一覧図は、被相続人がお亡くなりになった時点での相続人が誰であったかを証明するだけなので、その後遺産分割協議で実際相続することになった相続人は誰であるとか、相続放棄をした相続人がいるとかいないとかは全く関係ありません。代襲相続の場合も、先に亡くなっている相続人については「被代襲者」と記載すれば足り、兄弟姉妹の子の代襲相続は一代限りなので、もし代襲相続人が亡くなっていれば、一覧図に記載する必要すらなくなります。結果、たったA4サイズ2ページの「法定相続情報一覧図」にまとめることができました。
恐らく相続手続きを依頼される金融機関の担当者も、自分で相続人の範囲を特定する手間を省略できるため、手続きがだいぶ楽になるに違いありません。