遺言書はいつでも破棄し、また書き直すことが出来ます。そのため、前に書いた遺言書と後に書いた遺言書の内容に矛盾がある場合、その矛盾する部分については後に書いた遺言で前に書いた遺言を撤回したものとみなされます。また、遺言書は一通の証書ですべての相続財産を網羅しなければならないものではありません。先に不動産に関する遺言を作成し、しばらく経ってから預貯金に関する遺言を作成しても、相互に矛盾するものではありませんので、撤回の問題は生じません。
H様のお父様がお亡くなりになり、遺品の中から何通もの自筆証書遺言が見つかりました。遺言書作成日はバラバラで、ある日の遺言は不動産に関してで、またある日の遺言は預貯金に関してのように、それぞれ遺言書に書かれている財産が異なっております。これは遺言書を書き直していったものではなく、相続財産につき思いついたときに一つ一つ書き溜めていった遺言書だったようです。遺言書相互に矛盾がないすべて有効な遺言書でしたので、手続き先が異なっていても同時進行が出来る大変スムーズな相続手続きとなりました。