個人事業を営んでいるO様ですが、将来の相続税対策のために会社を設立したいとご相談にみえました。事業を行っている土地建物はO様の所有で、現時点における土地の評価額は3,000万円、建物の評価額は2,000万円です。O様の推定相続人はお子様二人なので、相続税の基礎控除額は定額控除3,000万円と比例控除600万円×2名で1,200万円、合計4,200万円ですから、たしかに相続税対策は必要の様です。
個人で事業を行っている方が会社を設立して、今行っている事業を今後は設立した会社で行うことを「法人成り」といいます。O様所有の土地建物は新しく設立した会社に貸し付けることになるので、土地は貸家が付いた土地として、建物は他人が使用する貸家として評価されることになり、かなり低く評価できることとなります。O様の場合、借家権割合30%、借地権割合70%で計算することになるので(賃貸割合は考慮しません)、土地の評価額は2,370万円、建物の評価額は1,400万円の合計3,770万円と評価することが出来、 基礎控除額の範囲に収まりました。
相続税の算定の基礎になるのは土地建物だけではありませんし、会社を設立することによって必要になる手続きも沢山ありますのでメリットばかりではありませんが、将来に向けての準備としては魅力的な対策の一つです。