土地区画整理中の不動産をご所有のN様のお母様が亡くなりました。N様のお母様は公正証書遺言を残されていたので、相続手続き的には容易なものだったのですが、問題はこの不動産の評価証明が無いことです。
そもそも土地区画整理が完了し換地処分が行われると、該当不動産の登記簿中、地番や地積の記載が有る「表題部」が取り換えられるだけで、所有権に関する「甲区」や抵当権等その他の権利に関する「乙区」はそのまま使われるので、相続による所有権移転登記が出来ない事はありえません。ところが土地区画整理事業が進み、仮換地の指定が通知される頃には、固定資産税の評価されなくなるので、登録免許税の算出の基準になる固定資産税の評価が存在しないことになってしまうのです。
そこで、管轄法務局に、この不動産の評価がなされた最後の年の評価証明を取得し、この評価額で登録免許税を算出したもので登記申請して良いか問い合わせたところ、「固定資産評価額が定まっていない土地」として、換地が予定されている新しい場所に近い「近傍類似の土地」の単価を使って評価額を出すようにとご指導頂きました。
この管轄法務局では、登記官の嘱託により公用の評価証明を取得する制度が無くなっておりましたので、どのように無関係の第三者所有の近傍宅地の評価証明を取得するのだろうかと思いましたが、親切にも法務局が「固定資産評価額通知事項確認書」という近傍宅地の1㎡当たりの単価を記載した書類を作成してくれて、この書類をこのまま登記申請の添付書類として使ってよいとの事でしたのですんなり登記を完了することができました。