成年後見制度のうち法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申し立てをする必要がありますが、この申し立てができる人は本人、夫や妻、子、父や母、兄弟姉妹など4親等内の親族に限定されています。4親等内の親族というのは結構広いものなのですが、主観的な親近感とは異なりますので親族の範囲には注意が必要です。
H様と従兄弟の甲さんは年齢も近いせいか実の兄弟の様に交流してきたそうです。甲さんが亡くなられた後も、H様と甲さんの遺族たちとは頻繁に行き来をなさっていらっしゃいます。ところが最近甲さんの奥様の判断能力に不安が出て来ました。奥様は甲さんの残された財産を運用しながら生活をしていたため、速やかに成年後見の制度を利用する必要があります。
そこでH様が申立人となり成年後見制度を利用することにしたそうですが、残念ながらH様は4親等内の「親族」の範囲から外れています。親同士が兄弟の従兄弟間の親等はたしかに4親等で、配偶者間の親等は「0」ですから確かにH様と甲さんの奥様の間の親等は「4」です。しかしながら、H様と甲さんの奥様とは血縁関係に無い「姻族」です。姻族が親族にカウントされるのは3親等までと決まっております。
甲さんの遺族のために張り切っていたH様ですが、法律で決められている以上残念ですがやむをえません。