相続による土地建物の名義変更を法務局に申請するとき、登録免許税という税金を納める必要があります。この登録免許税は固定資産税の評価額を基準に計算するのですが、相続財産に公衆用道路が含まれている場合、公衆用道路は固定資産税では非課税されておりますことから少々注意が必要となります。
10年ほど前父親名義の自宅を相続し、相続による登記名義の変更をなさったM様から、公衆用道路部分の名義変更が済んでいなかったのが分かり、手続きをしたいとの相談がありました。ご自分で相続登記を申請なさった時、区役所から毎年送られてくる固定資産税の納付書に同封されている課税明細書を基に相続すべき不動産と課税価格を把握したそうですが、公衆用道路部分は地番の記載はあるものの課税価格の記載が無く、自宅も見た目では公衆用道路があるように思えなかったため、名義変更から漏らしてしまったようです。
公衆用道路は固定資産税は非課税でも、登録免許税は課税されます。その課税価格の計算方法は法務局の管轄で少々異なるのが厄介です。或るところでは法務局が指定する近くの土地の評価を基準にしなければならないため、事前に法務局へ問い合わせる必要かあり、或るところでは市区町村が発行する評価証明書に「近傍宅地価格」というのもを記載してもらい、それに基づいて計算しなければならない所もあります。一番簡単なのは、公衆用道路が宅地部分と隣接していれば、その宅地の価格を基準にすれば良い場合ですが、どのパターンになるかは管轄法務局次第です。
基準にしなければならない宅地価格が分かれば、後はその価格の1平米当たりの単価の30%を公衆用道路の1平米当たりの単価として計算すれば課税価格が計算できることについては特に異なる取り扱いはありません。