自筆証書遺言はいつでも気が向いたときに書くことが出来、公証役場等の関与も無いので、遺言書を作成する場合の最も手ごろな方法であることは事実です。しかしながら、法律で決められたルールとちょっとでも合わないところがあると、せっかく書いた遺言の全部が無効になってしまうことがありますし、何よりもその保管場所と保管方法がとても難しいのが難点です。
N様も自筆証書を作っては見たものの、安易にわかるところにしまっておくと、遺言の内容が気に食わない家族に処分されてしまうかもしれませんし、あんまり厳格に隠すと、自分に万一のことがあった後、だれも見つけてくれないで、遺言と異なる相続処理をされてしまうかもしれません。とりあえず仏壇の引き出しにしまってあるそうですが、こればかりは保管場所と保管のしかたの最善方法は無いと言わざるをえません。
再来年(2020年)の7月から、自筆証書遺言を法務局が「遺言書保管所」となって預かってくれる制度がスタートします。現在、公正証書遺言については、遺言者が亡くなった後であれば、公証役場で遺言書の有無を確認できますが、新しい制度がスタートすれば法務局でそのような照会ができるようになるようです。
健康に何も心配がないN様ですので、今すぐ公正証書遺言にしなくても、新制度スタートまでお待ちになってもよろしいような気がいたしました。