A様には4人のお子様がいらっしゃいます。独立して地方に住んでいる長男と、結婚してそれぞれ家庭を持っている二人の娘、そして今も一緒に暮らしている次男です。A様としては自分亡きあと、財産を4人の子供たちが法定の割合で等分に相続することに何の問題もないとは思っています。でも自宅の土地建物の名義が子供たち4人の共有になると、将来子供たちからさらに代が変わってゆくことによって権利関係が複雑になりそうなのが不安です。そこで、土地建物は次男に相続させ、その他の財産は次男外の子供たちに相続させる旨の遺言書を残すことにいたしました。ただし、主だった財産は土地建物だけで、その他の財産では次男以外の子供たちが法律によって守られている最低限の相続分である遺留分にも足りません。自分が残した遺言のせいで、子供たちの仲を悪くさせてしまうことも絶対避けたいところです。そこで、なぜそのような相続分の指定をしたのかその理由と、4人がこれからも仲良く暮らしていってほしいという思いを遺言書に書くことにしました。このような特別の思いや願い事を「付言」といいます。付言には法的な効果はありませんが、遺言内容に対する不満を解消し、遺留分権の行使を抑える効果は十分あると思われます。