A様の祖母がお亡くなりになりました。祖母は生涯独身で相続人がいなかったため、A様の母親を養女にしたのですが、その母親は祖母が亡くなる少し前に亡くなっております。そのため相続人は母親を代襲したA様他2名の孫たちです。3人の孫たちの内、祖母の療養看護に努めたのはA様だけで、他の2名の孫たちは疎遠となっており、祖母の最後を看取ったのもA様だけでした。
養子は実子と同じ相続権があり、相続人である子が被相続人より先に死亡したときはその子が代襲して相続するという代襲相続の規定も適用されております。ただし、「被相続人の直系卑属でない者は、この限りではない。」とも規定されております。この被相続人の直系卑属ではない相続人の子の典型的例の一つが養子縁組前の養子の子です。なぜなら養子と養親及びその血族との間に、血族間におけるのと同一の親子関係を生ずるとされるのは「養子縁組の日から」と規定されているからです。
相続手続きに必要な戸籍を収集してみると、なんとA様が生まれたのは祖母と母親が養子縁組をする数か月前で、疎遠になった2名の孫は養子縁組の後であることが分かりました。つまりA様は母親を代襲して相続人となる資格が無かったのです。
祖母がA様と養子縁組をするなど、祖母の存命中にはA様が相続人となる方法がいくつか考えられたのですが今となってはどうしようもありません。それでも疎遠になった兄弟に代わって相続手続きを続けるというA様には頭が下がる思いです。