F様のお兄様がお亡くなりになりました。お兄様は生涯独身でお子様がおらず、ご両親およびその上の代の尊属もすでにお亡くなりになっていることから、弟のF様が相続人となりました。ただし相続人はもう一人、30年以上連絡を取っておらず現在どこに住んでいるか分からないお姉様がいるはずだとのことです。実は亡くなったお兄様とF様は両親とも同じなのですが、行方不明のお姉様は父親の前妻との間の子で、子供のころ一緒に暮らしていた記憶があるものの、お嫁に行かれて以降F様との交流が途絶えたそうです。お姉様がF様よりかなり年上だったせいかもしれません。
いずれにしましても、両親の片一方が同じ「半血」の兄弟は、両親とも同じ兄弟の半分の相続権があります。お兄様が遺した財産の相続手続きにはお姉さまの協力がどうしても必要です。
お姉様がご結婚により父親の戸籍から除籍になったことは容易に分かりますので、これを基にお姉様の現在の戸籍を取得することが出来ました。これでご存命であることは間違いなさそうです。次に戸籍の附票を取得して現在住民票を置いている場所を調べました。幸いにもF様のお住まいからさほど遠くありません。電話番号は調べられませんでしたので、まずは手紙を出してご不幸があった件と相続手続きへの協力のお願い、手紙でも電話でもなんでも一度連絡がほしい旨を伝えました。高齢でもあるため、住民票を置いているところに住んでいるか、手紙を理解してくれるか分かりませんがこれ以外の方法はありません。
おそらく手紙が着いたであろうその日に早速お電話をいただきました。翌日F様と一緒にご挨拶を兼ねてご説明にお伺いいたしました。F様は会っても顔が分からないかもしれないなどとおっしゃっていましたが、弟との再会を心待ちにして、門の前で待っていてくださっていたお姉様の姿を遠くから見た瞬間、「あの人が姉さんです。ちっとも変っていない」とのことです。
半分でも血を分け合った兄弟の絆は大したものだと思いました。