不動産の相続による所有権移転登記の申請に際して、登録免許税という税金を納付する必要があります。この税金の額は、その不動産の固定資産税の評価額を基準に計算いたします。ただし、一筆の土地の一部に公衆用道路部分が含まれている場合は、単純に固定資産税の評価額では正確な課税価格となりません。公衆用道路は固定資産税が非課税ですが相続登記の時に納付する登録免許税は非課税ではないためです。
亡くなられたお父様の名義の自宅の相続登記をご依頼に、長男のM様がわざわざ区役所で評価証明書を取得してからお見えになりました。登記にかかる費用は評価額で大きく異なりますので、評価証明書をお持ちいただけると正確な費用をご案内できるので大変助かります。ところがこのご自宅の土地、一筆の土地で登記簿上の地目(土地の種類)は「宅地」なのですが、一部「公衆用道路」が含まれています。そのため登記簿上の地積に対して評価証明書の「課税地積」が10㎡ほど小さくなっております。M様は不足する分の評価証明書を取りに、もう一回区役所に行ってくるとおっしゃいましたが、その必要はありません。公衆用道路部分の評価証明は存在しませんし、その部分の評価額は以下の計算方法で簡単に算出できるからです。
「評価証明書の評価額」÷「課税地積(㎡)」=宅地部分の1㎡あたりの単価
「登記地積(㎡)」-「課税地積(㎡)」=公衆用道路の面積
(「宅地部分の1㎡あたりの単価」×0.3)×「公衆用道路の面積」=公衆用道路の評価額
「評価証明書の評価額」+「公衆用道路評価額」=登録免許税の課税価格
以上、簡単です。